剛柔流空手道とは・・・


空手道発祥の地沖縄で空手がまだ『唐手』と呼ばれていた時代、その伝統や技術の差異により那覇手・首里手・泊手に大別されていた。
那覇手は運河、河の多い中国南方部の中国南少林拳の流れを汲むため、狭い船の中でも戦えるように接近戦、手技が発達している特長を持ち、その那覇手の流れを継ぐ流派が剛柔流である。
『剛柔』とは那覇手の先駆者・東恩納寛量(ヒガオンナカンリョウ1852〜1915)先生に師事した流祖・宮城長順(ミヤギチョウジュン1888〜1953)先生が中国福建省少林拳白鶴門の古伝書「武備誌」にある拳八句の中の「法剛柔呑吐身随時応変」(法は剛柔を呑吐し身は随時応変す)から『剛柔』を抜粋し、昭和5年剛柔流と名乗り流派名としたものである。 その意味は宇宙万物、天然の理である陽と陰を表しその中に動と静を含む無限の理念をもつものである。


  剛柔流空手道の特徴



剛柔流空手道は空手技術の修得、向上と共に心身の健全な育成を促すのに優れた内容を持っている。それは宮城長順先生が古来よりの精神修養法や健康法に加え空手道をいち早く近代体育とし見直し、器具を使った補助運動、現在でいう科学的トレーニングといったものを含む合理的な練習体系を昭和のはじめに作り上げたことによるものである。
剛柔流は接近戦を得意とする。そのため関節の動きをうまく利用した円運動の動きが多く、円運動により相手の力を殺し、転身自在な猫足立ちなどにより攻守を円滑に行うことが出来る。 また剛柔流は腹式呼吸を重視した呼吸法『息吹』を取り入れている。動作にあわせ腹式呼吸をすることにより神経や内臓諸器官が強化され、気血の流れが良くなる効果を持つ。剛柔流の呼吸法『息吹』は禅や太極拳とも共通する東洋独特のものである。
形には基本形である三戦(サンチン)、閉手形の転掌(テンショウ)、開手形の撃砕(ゲキサイ)一・二、砕破(サイファ)、制引鎮(セイユンチン)、四向鎮(シソーチン)、三十六手(サンセール)、十八手(セイパイ)、久留頓破(クルルンファ)、十三手(セイサン)、壱百零八手(スーパーリンペイ)の12の形があり、その中でも三戦においては「剛柔流空手の基本である」また「立禅」とも言われ息吹の活用と共に動作することにより「気」、「息」、「体」の修練を目的とされている。

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